戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
フィジカル空間デジタルデータ処理基盤
超低消費電力MTJ/CMOS Hybrid IoT
デバイス基盤技術の研究開発

ごあいさつ

遠藤 哲郎

研究開発責任者
東北大学
国際集積エレクトロニクス研究開発センター
センター長 遠藤 哲郎

IoTデバイスは、知的システムをエッジ側に実装を可能とする我が国の発展に不可欠なSociety 5.0の基盤技術です。しかし、従来のIoTデバイスでは、情報記憶を担うメモリ素子が揮発性(電源を切ると情報を忘れる)であるため、電力供給が制限されているエッジ側システムでは、許容できる消費電力にて、求められる演算処理性能を実現することは困難です。

本研究開発では、内閣府ImPACT事業等で開発してきたスピントロニクスに関する成果を発展させ、早期に社会実装を図るため、実用化が見込まれている磁気トンネル接合(MTJ)を半導体集積回路(CMOS)技術に融合させたMTJ/CMOS Hybrid IoTデバイスとその基盤技術を開発します。

具体的には、IoTデバイスに演算処理機能に加えて不揮発(電源を切っても情報を忘れない)機能を持たせることで、課題である待機電力を大幅に削減し、従来の消費電力と演算処理性能のジレンマを解消することが可能となります。これにより、将来のフィジカル空間を支えるフィジカル空間に求められる飛躍的な低消費電力性能(従来比:1/5~1/10)を有する革新的超低消費電力IoTデバイスの基盤技術の確立を目指します。

加えて、本基盤技術を着実に社会実装させるために、本開発技術の応用分野を①エッジサーベランス、②モビリティ、③耐環境、④コネクティッドと定めて実証検証開発を推進することで、IoTデバイス開発に不可欠となる回路IP・設計ツール・PDK群等からなるIoTデバイスの基盤技術体系(開発、製造からモジュール設計までが統合化された体系)を構築すると共に、革新的センサー技術チーム、共通プラットフォーム技術チーム、社会実装技術チームとの連携を促進します。これにより、MTJ/CMOS Hybrid IoTデバイスの開発生産効率を10倍に向上させることを目指します。

本開発の超低消費電力MTJ/CMOS Hybrid IoTデバイスとその基盤技術を確実に社会実装へと繋げ、Society 5.0の実現に貢献して参ります。

ご⽀援のほどよろしくお願いいたします。